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イギリスの空の下からのつぶやき

イギリスの空の下からのつぶやき
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 愛しきイギリスの村
私は事務所から少し離れた、ある村に暮らしている。


私の今までのイギリス生活はずっとこのあたりにある。
村という言葉は日本語にしてみると、
もしかして、、、田舎っぽいサウンドがあるかもしれない。


私は東京から、イギリスのある町にお嫁に来た。
三年くらいそこで暮らした後に、
ひょんな事から、そこから車で12分ほど走ったところにある小さな村に暮らす事になった。


                 Photo by Jumi
                    

ファームの真ん中にある、300年ほどは軽くたっているであろう、オンボロ屋、、、



そこが私たちの新しい?住まいであった。



ドアを開け部屋に入る。
そして自分が冷たい石の上に立っているのに気がつく。



なんとなく薄暗い部屋。。。
隠れ家にいるような静けさと
なんか来てはいけないところにきてしまったような思いにかられながらも
なんか惹かれる。



でも台所にいくと、気持ちの良い太陽の光が差し込み、
ラウンジにいくと、
田舎屋の小さな窓なのに、妙に落ち着く。
そこにずっと居たくなる。



ドアの一つ一つには鍵がついていた。
そしてあるドアを開けると、
いきなり階段が現れた。
曲がった階段を登っていくと、
気持ちのいいほど、明るい二階だった。
寝室が三つ。
一番奥の部屋に私の仕事部屋があった。



私はコンピューターに向いながら、
窓に映る、
木々のざわめきを見るのがすごく好きだった。
風が強いと大きく揺れる。
雨が降ると、
悲しそうに寄り添う。
そして晴れ渡ると、
鳥が飛び交い、
久しぶりに見る、
空の青さを懐かしく思う。



すべての部屋に暖炉があった。
そして暖炉から、
わずかながら、
ひんやりとした風が吹き込んできた。


窓越しに、畑が広がり、
春には菜の花が咲き、
そして
羊がゆっくりと幸せそうに遊んでいる。



忘れもしない、
10月7日にそこに引っ越してきたのを。


10月7日は、私の大切な人の誕生日でもあったから。

イギリスにおいての、私の両親あるいは祖父母のようでもあったアボット夫妻<仮名>のご主人の方の御誕生日。
お二人はもう天国に召されてしまったが、本当に素敵なご夫婦であった。
一番大好きなイギリス人であった。

私は彼らからイギリスを学んだ。
そして私は、彼らからもしかしたら、無償の愛を学んだかもしれない。
彼らの愛情は私たちになんの見返りも期待していなかった。



アボット氏は奥様より先に神様のもとに旅立った。
最後の姿は
私の上の息子の誕生日を
身体の具合が悪くて、一緒に祝ってあげられないといいながら、
玄関先で、咳をしながら、私にプレゼントを渡してくれた事。
それが最後だった。



それから一年後、
アボット婦人が亡くなる直前の事。
実は、私と子供達は、彼女に会った最後の人物でもあった。
彼女は待っていてくれたのだ。
意識が遠のいた後も、
病院でじっと待っていてくれた。
私と子供達が会いに行くのを。



私は、一生懸命彼女の顔を見ながら言った。



I love you.


大好きだよ



何度も言った。

日本人である私。

自分の気持ちをどう表現したらいいかわからない私。

でも私は日本人。

日本語で私のこの気持ちを伝えたかった。

言わなくてはいけないと思った。

どんなに愛しているかを。



そして、、、

意識の遠のいた彼女の瞳から

大粒の涙がこぼれたのだ。



人間は意識がないといわれたとしても
言われている事はわかっているのだ。
ちゃんと聞こえているのだ。




彼女は天国に召された。





イギリスの村には番地がない。

家の名前が住所になる。

昔から何百年と続いた名前にちがいないけれど、

それらの名前をその家の住人は愛している。



村にいても勿論通勤には不自由せず、
街は手じかにあり、
でも、村にくると、タイムスリップしたような静けさと、
音楽の似合う景色が迎えてくれる。
私がラフマニノフに恋し、
ドビュッシーに惹かれ、
エルガーやグリーグにまいるのも
この村の景色があるからだ。



目に眩しい朝日も 
そして、けだるい午後の日差しも、、
オレンジ色の夕日も
そして
イギリス特有の霧の日も、
そして雨の日も、
村は私の期待を裏切らない。



現実と、自分だけの時間をどっか区別したいと思うようなところのある自分だったから、
もしかしたら、村にすんなり適応できたのかもしれない。



近くにお店がなくても街灯がなくても気にならない人だったら、
村に暮らしてみることもきっと悪くないと思う。



ファームに暮らしている時は、隣家はなかった。



ラジオを消してしまえば、音のない世界だった。
時々、羊のなく声と、トラクターの音。。。。
それくらいだった。



夜の星の数はすごかった。

そして満月の晩もこれほど月の光が明るいのかと、あらためて思った。

月の光の中に二頭の鹿を見たことがある。
ゆうゆうとジャンプするように、走り去っていった。
それは、童話の本の一ページの挿絵の世界にも等しかった。
見とれて、立ちすくむ自分がいた。




ずっと昔、まだ日本にいる時、
私は、満月の晩に泳いだ事がある。

街灯もない、なんにもない海岸で。
あるのは月の光だけ。
海面に鮮やかに光る月の道筋の中に身をゆだねると、
このまま自分がどっかに消えていってもいいような気分になるから不思議だ。
どうして私は消えて行く事にそんなにこだわるのだろうか。
消えて行く事はそんなに美しいのだろうか。

月は人間の想像できないような力を持って
人の心の中に入り込んでくる。




早朝にやってくる、ポストマン
書留でサインが必要な時、
下手なピアノを叩いていると、
聞こえなくて、
待たせて悪い事をしてしまった事がある。




春は、外が明るくなり、
花は咲き、
グレーから次第にピンク色に変わっていく
時々顔をだす太陽に、
恥ずかしそうに、腕をだしてみる。




夏になると、
初夏の柔らかい日差しが嬉しくて、
ボロ屋の玄関の脇に置いたベンチに
いつまでも座っているのが幸せだった。

何度も読み返した本を
愛情を込めて、
もう一度めくってみる。
ストーリーはもうしっかり頭の中に入っている。




秋になると、いっきょに空は悲しそうになる。
長袖の秋に等しく、
厚手のカーディガンを持ち出し、
玄関の外で一瞬身震いをする。
そしてやっぱりコートを着ていった方がいいと悟るのだ。
でも、、、、
もうすぐクリスマスだと思うだけで、
嬉しかった。

慌てて、身をかわすように、
姿を消していきだす太陽にも、
寂しく感じることはあっても、
どっぷりくれていく夜の静けさに惹かれていく自分がある。




冬になると、暖炉に石炭をいれて燃やした。

でも私は薪を燃やすほうが好きだ。
なぜなら、パチパチといい音がするから。
時々、火が消えないように、気をつけながら、
日本から持ってきたうちわであおいだりした。
冬、外は、午後三時を過ぎると、

だんだん暗くなりはじめ
そしてあっという間に真っ暗になる!
星空を仰ぐ。
あとは、本当にクリスマスを待つだけ。


冬のある晩、停電になった事がある。
想像してみてほしい。
街灯も何もないファームの真ん中なのだ。
どんなに暗いかという事を。


夕食もまだ食べてなかった。
仕方がないので、
暖炉の火で、一切れの魚と
ソーセージを焼いた。
すごくおいしかった。


ピアノの上にローソクをたて、
ピアノを弾く。
時間の壁をこえて、
いったい私はどこにいるんだろう。



音のない世界。
そこに自分の好きな音を加えた世界。
それがラジオであれ、
CDであれ、
自分の好みのままで
自分の世界を作り上げる事ができるのだ。
そんなに贅沢な事ってないのではないのだろうか。



ここでの生活以来、
私は音楽の世界に入りこむのが、
とっても得意になった。



外出して、真っ暗になって帰ってきた時、
ファームの中に車を止めて、
家に向うそのたった50メートルの距離が
とても怖かった。
無言の世界が怖かった。
家にはいり、明かりをつける。
つけっぱなしにしたラジオの音が聞こえる。



そしてそこにあったかなぬくもりを感じる。
果てしない安らぎを感じる。
そして
やっぱり溶けてしまいたくなる。







追伸

でも、、
私は
私の生まれ育った国を
もっと愛している。


大好きだよ。





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